Archive 2010年9月

前週の続き。
では施設園芸の原点とは何か・・。

農業に施設園芸というジャンルができて半世紀あまり。
施設園芸の出現によって野菜も花も季節や旬はなくなり
今やほとんどの農産物を一年中消費者に届けることができるようになった
つまり、施設園芸とは季節をコントロールすることで進化してきた産業といえる。
ところが、ここ数年の異常気象に従来の施設園芸技術が
追いつかなくなってきているのだ。

輪菊生産でも今夏の猛暑は、お盆需要に影響を及ぼし
輸入花に頼らざるを得なかった。
バラにおいても需要期に突入したものの
西南暖地の入荷が安定するまではかなりの時間を要し、
これもまた輸入花に助けを求める状態になりそうな気配さえする。
東北も東海も九州も、全国どこで最高気温が記録されるかわからないように
日本列島は右に傾いてしまったようだ。
今年の冬は一転して厳冬で連日の寒波が押し寄せる予報が出ている。

我々施設園芸農家は、このように今までと違う気象条件に対応する技術力を
身につけ、安定した出荷体制を確立することが急務なのである。

施設園芸は温度をコントロールできることが基本であり原点である。
経営体力の持久戦でバラ農家は施設の投資を後回しにしてきた背景があり
耐用年数の過ぎた二重カーテン等の保温設備を使い続けている農家は多い。
古い保温設備では肝心な時に温度が維持できず採花が減り
流通量の減少を招きかねない。
高品質の二重設備は保温だけでなく同時に保冷効果も高い。
今年の暑さでも十分夜冷できることが実証できた。
わずか1センチ、ステムが短くて階級落ちする、この1センチは
保温(保冷)設備の差による1センチなのだ。

輪菊農家がバラ農家並の降温技術をもっていれば
今年の暑さにも耐えうることはできた。
全国のバラ農家に夜冷技術が普及していれば
輸入花に頼らなくとも秋需要を賄うことができるかもしれない。
夏でも冬でも、どのような異常気象がきても、皆が苦労する時に
通常通り出荷できることが勝敗の別れ道になるように思う。

ここからの数年は、設備の充実に投資できた者だけが
勝ち組行きへの切符売り場に並ぶことができるのではないだろうか。

そうして辿り着いた切符売り場には、まだ沢山の人が並んでいる。
順番を待つ間に行き先のボタンを探さなくてはいけない。
間違っても負け組行きの切符を買わないようにするには・・次回に続く

本日の出荷は433ケースでした。

私どもローズマート出荷組合は
第9回とよはしまちなかスロータウン映画祭に広告協賛いたします。
(開催期間 2010年 10/30~11/21) http://www.slowtown.info/

期間中に催されますイベントにも花の提供をし、
この映画祭に彩りを添えます。

上記の協賛の提案を組合に話を持って行きましたところ、
「お前の好きにやってみろ」「遊び心も大切だ」
と二つ返事で了承してくれました。
この世知辛い時代に、損得ではない部分で動いてくれるこの組織を
内部にいる者ながら、嬉しく思い、その懐の深さに感謝いたしました。
「好きにやっていい、ってどこまでやっていいんですかね?」
と尋ねますと
「怒られるまでやったらいいんだ」
という答えでした。
ふふふふふ。
絶大な権力を与えられましたので、せっかくですので
怒られるまでやってみようと思います。

本日の出荷数量は 464ケースでした。
本日は沢山の注文を頂きましたが
すべての注文にじゅうぶんに応えることが出来ず
申し訳ありませんでした。
  
これからもどうぞよろしくお願いします。

本日の出荷は452ケース

乾いた西風が吹き始めた。
夏には吹かない風で、季節の針はようやく秋に向いた。
新根が発根し始め、株は元気を取り戻しつつある。
残暑が厳しいがどうやら無事に夏を乗り越え
万全の態勢で秋を迎えることができそうである。

異常気象でなく毎年猛暑があたり前のようになるならば
夏の乗り越え方はバラ経営の重要なポイントになると思う。
かつてバラ経営は坪3万円の売り上げを基準とされ
「作り1万、売り1万、そして品種1万」と言われた時代があった。
その後、品種の多様化とともに流行が早すぎて短命となり
品種よりも、売り方の戦略が重要になった
その格言は「作り半分、売り半分」と変化した。
市場の大型化に伴い産地もそれに合わせて大型化し、
個人農家は生産効率の悪い少量多品種経営に傾いて
農家の利益悪化のひとつの要因になった。

「ここ数年でバラ農家は三分の一が撤退を余儀なくされる、ここからは
経営体力の持久戦で生き残りが決まる」と、評されてから既に三年が経過した。
この間に、
”体力を温存することができた者”
”体力を伸ばした強者”
そして残念ながら”体力を消耗した者”
と、三つに別れてきている。
我々がどこに入るかはあえていわない。
体力勝負がそろそろ終りに近づいた今、次の三年をどうするか・。
体力温存を続けていては「座して死を待つ」のみである。

新たに格言を変えるとすれば私は「作り八分」と言いたい。
今こそ農業の原点にかえり、作りに向かう時ではないか。
どんなに高値の品種を選ぼうが、良いマーケティングをしようが
作りが悪ければ売上は伸びない。
あたり前の良品質で、数を採ってこそ売上も利益も伸びる。
作りの原点に還り、そのために必要な設備に躊躇なく
投資をする時が来たように思う。
農業の原点というより施設園芸の原点に戻らなければならない。
では施設園芸の原点とは何か・・・
次回に続く。

本日の出荷は463ケースでした。

今さらながら、人知れずブログを始めました。
おふざけの過ぎる日記で、仕事のことは書いていません。
仕事が話題にならないのは、それが最優先事項ではないからなのか?
自分に向けてそんな問いが湧いてきますが、それにはこう答えます。
MAXの出力で仕事をしているから、もう話題にする残りカスもないんだ。
本当か? と再び自問をすると、答は、吹きゆく風の中に消えて行きました。
バラの花をお買い上げくださるお客様もブログの閲覧者にも、会ったことのない人の方が圧倒的に多いわけですが、その分こちらから差し出すものがいくらかでも気に入ってもらえて、またリピートしてもらえるのならば、それはとてもハッピーなことなのだと思うのでした。

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