Shipment Quantity出荷数量&生産者のひとこと

  • 施設への投資

前週の続き。
では施設園芸の原点とは何か・・。

農業に施設園芸というジャンルができて半世紀あまり。
施設園芸の出現によって野菜も花も季節や旬はなくなり
今やほとんどの農産物を一年中消費者に届けることができるようになった
つまり、施設園芸とは季節をコントロールすることで進化してきた産業といえる。
ところが、ここ数年の異常気象に従来の施設園芸技術が
追いつかなくなってきているのだ。

輪菊生産でも今夏の猛暑は、お盆需要に影響を及ぼし
輸入花に頼らざるを得なかった。
バラにおいても需要期に突入したものの
西南暖地の入荷が安定するまではかなりの時間を要し、
これもまた輸入花に助けを求める状態になりそうな気配さえする。
東北も東海も九州も、全国どこで最高気温が記録されるかわからないように
日本列島は右に傾いてしまったようだ。
今年の冬は一転して厳冬で連日の寒波が押し寄せる予報が出ている。

我々施設園芸農家は、このように今までと違う気象条件に対応する技術力を
身につけ、安定した出荷体制を確立することが急務なのである。

施設園芸は温度をコントロールできることが基本であり原点である。
経営体力の持久戦でバラ農家は施設の投資を後回しにしてきた背景があり
耐用年数の過ぎた二重カーテン等の保温設備を使い続けている農家は多い。
古い保温設備では肝心な時に温度が維持できず採花が減り
流通量の減少を招きかねない。
高品質の二重設備は保温だけでなく同時に保冷効果も高い。
今年の暑さでも十分夜冷できることが実証できた。
わずか1センチ、ステムが短くて階級落ちする、この1センチは
保温(保冷)設備の差による1センチなのだ。

輪菊農家がバラ農家並の降温技術をもっていれば
今年の暑さにも耐えうることはできた。
全国のバラ農家に夜冷技術が普及していれば
輸入花に頼らなくとも秋需要を賄うことができるかもしれない。
夏でも冬でも、どのような異常気象がきても、皆が苦労する時に
通常通り出荷できることが勝敗の別れ道になるように思う。

ここからの数年は、設備の充実に投資できた者だけが
勝ち組行きへの切符売り場に並ぶことができるのではないだろうか。

そうして辿り着いた切符売り場には、まだ沢山の人が並んでいる。
順番を待つ間に行き先のボタンを探さなくてはいけない。
間違っても負け組行きの切符を買わないようにするには・・次回に続く

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